元旦になるとギリシャのほとんどの家庭で食卓に登場するのが、縁起物のスイーツであるヴァシロピタ(Vasilopita /聖バジルのケーキの意)です。
ひと言でヴァシロピタと言っても、実はそのバリエーションは多彩。アテネで最も人気があるのは「ポリティキ・ヴァシロピタ(Politiki Vasilopita)」で、小麦粉や卵、砂糖、牛乳を使った甘くふっくらとしたケーキですが、サンテ島ではパン生地にサワードゥやアーモンド、スパイスを入れたもの、エピロス地方ではラム肉や豚肉、フェタチーズにミントを使ったパイになるなど、地域によってまったく異なる味わいです。
ただ一つ、どのヴァシロピタにも共通しているのが、中に「フルリ(幸運のコイン)」が中に入っていること。ケーキを年長者が家族や友人に切り分け、コインの入った一切れを引き当てた人には、その年の幸運が訪れると信じられています。ギリシャの祝祭シーズンを盛り上げる、美味しい伝統イベントです。
さらに詳しく!
ヴァシロピタは、単なるケーキではなく、聖バシリオス(アギオス・ヴァシリス)を祝う伝統文化の一部。彼はギリシャ文化におけるサンタクロースのような存在で、その寛大さで知られ、新年に子どもたちに贈り物を届けると信じられています。
こうした風習の起源やギリシャ正教にまつわる文化に興味のある方へのオススメは、アテネの「ビザンチン・キリスト教博物館」。宗教芸術や信仰の歴史を通して、これらの文化的背景を垣間見ることができるスポットです。