ベルギー南部・ワロン地方には、世界的にも貴重なトラピストビールの醸造所が3カ所存在します。いずれも修道士によって伝統的かつ厳格な条件のもとで造られる「本物のトラピストビール」であり、その3カ所のビール「シメイ(Chimay)」、「ロシュフォール(Rochefort)」、「オルヴァル(Orval)」の名は、世界中のビール愛好家に知られています。

■シメイ:トラピストビールの元祖・スクールモン修道院で作られているビール。赤・青・金の3種があり、瓶内二次発酵による複雑ながらもバランスのとれた味わいが魅力です。
■ロシュフォール:ノートルダム・ド・サン・レミ修道院のビール。中世の修道院で受け継がれていた伝統を今に伝えているもので、アルコール度数が異なる「6」「8」「10」の3種が楽しめます。
■オルヴァル:オルヴァル修道院で醸造。野生酵母を使用しており、熟成による味わいの変化を楽しめる、個性派のトラピストビールです。
これらのビールは単なる嗜好品ではなく、修道士の信仰と勤勉さが形となったクラフトマンシップの象徴。トラピストビールはもともと、生水を腐らせないようにと修道院で考案された飲み物でした。また修道院にとっては地域との連携も大切な活動の一部であり、現在でもトラストビールの売り上げの一部は地元への寄付として還元されています。
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3つの修道院はいずれも自然・歴史・文化が豊かに感じられる環境にあり、サステナブルな観光にもふさわしいスポットです。
■シメイ周辺(エノー州):修道院とビール醸造所の見学に加え、地元レストランでのペアリング体験やチーズ工房訪問が可能。さらに「シメイ公の城」では、歴史的建築と芸術品を現当主自らが案内する特別な体験も。自転車や徒歩で巡るルートも整備され、低環境負荷型の観光が推進されています。
■ロシュフォール周辺(ナミュール州):緑豊かな丘陵地に囲まれ、中世の町並み観光と自然体験を組み合わせたエコツーリズムが盛ん。地元農家と連携したスローフード体験も魅力的です。
■オルヴァル周辺(ルクセンブルク州):修道院遺跡と現役ブルワリーの見学に加え、自然保護区での散策や環境教育プログラムが充実しています。