カスレとは、豚肉のソーセージや鴨肉などとインゲン豆を長時間土鍋で煮込む料理で、カスレの元となる料理が生まれたのは、英仏百年戦争(14~15世紀)の頃と言われています。戦時中、この地方の村人たちが、村に残っていた豆や肉類などを土鍋に入れて長時間煮込み、兵士に提供したのが起源だそう。この土鍋に使われたのがカソールと呼ばれるこの地方の伝統的な陶器で、カスレの語源になっています。
かつては寒い時期ならではの風物詩でしたが、最近では年間通じて食される人気料理になりました。
どこで味わえる?
カルカッソンヌからカステルノダリー、さらにトゥールーズを結ぶ約180㎞の道は「カスレ街道」と呼ばれ、各都市で異なるバリエーションのカスレを楽しむことができます。
カルカッソンヌでは羊の肩肉または羊のモモ肉、一羽か数羽のペルドリを入れます。カステルノダリーでは豚肉が多めで豚ロース、豚のすね肉、豚の皮、ハム、サラミを入れたり、そしてトゥールーズではカステルノダリーのカスレより豚肉が少なめで、豚のバラ肉、羊のバラ肉、トゥールーズのソーセージ、鴨のコンフィなどが入るのが特徴です。
この3都市がいずれもカスレの本家であることを譲らず、発祥の地についても諸説あるため、現在ではカトリックの三位一体説にならって、カステルノダリーのカスレを父、カルカッソンヌのカスレを神の子、トゥールーズのカスレを聖霊と位置づけています。