1970年代、ポーランドの社会主義時代に誕生したザピェカンキ。バゲットのようなパンにチーズ、キノコ、ハム、トマトソースなどをのせ、オーブンで焼き上げる料理で、ピザの原型とも言える簡素で美味しいメニューです。経済的な困難と食糧不足に直面していた当時のポーランド市民にとって、安価で調理が簡単なザピェカンキは手軽に美味しく楽しむことのできた食事でした。それゆえにクラクフを中心に人気を博し、各都市に広まっていったのです。
どこで味わえる?
世界遺産クラクフ歴史地区の横に位置する旧ユダヤ人街「カジミェシュ」には、昔ながらのザピェカンキを楽しめる特別な場所があります。それが「オクロングラク・クラクフ(Okrąglak Kraków)」。この円形のフードコートは、ザピェカンキ専門店が集まる場所として、観光客と地元の人々に愛され続けています。クラシックなザピェカンキから、さまざまなトッピングを施した創作ザピェカンキまで、工夫を凝らしたメニューが揃うのも魅力的。また、ここでは1970年代当時の社会主義建築の代表例とされる建物も見どころです。近くにはユダヤ人墓地やシナゴーグ、シンドラー博物館といったスポットもあるので、ぜひ観光を兼ねて訪れてみてください。